7月14日、バンテリンドーム。試合開始からわずか3分の出来事でした。
初回2死から森下翔太がマラーの150キロ直球を右中間ホームランウイングへ運ぶ23号。これで80試合にして早くも昨季の自己最多に並びました。そして直後、佐藤輝明が右翼席へ打った瞬間に確信する19号ソロ。2者連続アーチで、敵地が静まり返る前に2点です。
本塁打王争いは森下23本、佐藤輝はこの日2本目の3ランも含めて20本。首位と2位が同じチームの3・4番という、異常な光景が続いています。
ところでこの2者連続弾、データ的においしい条件が揃っていることに気づきました。同じ試合、同じ球場、同じ投手(マラー)から、右打者と左打者が続けてホームランを打った。スイングを比較するのに、これ以上ノイズの少ない素材はなかなかありません。
というわけで、前回森下の22号でやったAI骨格解析(MediaPipe)を、今回は2人分。右の主砲と左の主砲、何が同じで何が違うのか。
まずは骨格を並べて見る

上段が森下(右打者)、下段が佐藤輝(左打者)。構え→始動→回転→インパクト→フォローの5局面です。
センターカメラから見ると、右打者と左打者はちょうど鏡写しになります。並べて眺めると、まず目につくのはインパクト局面での下半身の安定感が2人とも際立っていること。前足がしっかり壁になって、骨盤の上で上体が回る。タイプの違う2人ですが、土台の作り方は共通しています。
一方で構えはかなり対照的です。森下がコンパクトに閉じた構えから鋭く回るのに対し、佐藤輝はゆったりした構えから大きな弧を描く。骨格の線だけ見ても「らしさ」が出るのが面白いところです。
手首スピードの「波形」を重ねる

両者の手首の移動速度を、それぞれのインパクト(=手首速度のピーク)を基準に重ねたグラフです。ズーム率が違う2つの映像なので絶対値の比較はできません。そこで各自のピークを100%とした相対比較にしています。
共通しているのは、速度の大部分がインパクト直前のごく短い時間に集中すること。森下22号の解析でも見た「ムチがしなる」加速パターンが、タイプの違う佐藤輝でも同じように現れます。ホームランを打てるスイングの共通言語と言っていいかもしれません。
肩の開きのタイミング

肩のライン(見かけの肩幅)の変化から「開き」の進行を比較したグラフです。こちらも興味深いのは、両者とも開き切るのはインパクトのかなり手前ではなく、直前だということ。開きが早いとボールに力が伝わらないというセオリーを、リーグの本塁打1位と2位がそのまま体現しています。
正直な注意書き
いつも通り、測定の限界も書いておきます。
- 2つのクリップはカメラのズーム率が異なるため、スイングスピードの絶対値(どちらが速いか)は比較していません
- センターカメラの正面アングルでは腰の検出精度が落ちるため、腰の回転タイミングの精密な比較は今回も見送りました
- インパクト時刻は「手首速度のピーク」として推定しているため、数フレームの誤差を含みます
それでも、同一試合・同一投手という条件が揃った右打者と左打者のスイングを、骨格データで並べて眺められるのは十分に面白い。プロの技術は、鏡写しにしても本質が同じ形をしています。
この2人、まだまだ打ちます
首位・森下と2位・佐藤輝の差は3本。同じチームの3・4番が本塁打王を争いながら、初回に連続アーチを架ける——こんなシーズンはそうそうありません。
この歴史的な争い、結果だけ追うのはもったいない。打席をライブで見るならDAZNかスカパー!プロ野球セットをどうぞ。選び方は比較記事にまとめています。(※ASP提携後にリンク化)
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本記事の骨格データは公開映像からMediaPipe(Google)を用いて筆者が独自に抽出・可視化したものです。数値は撮影アングル・映像品質の影響を受けるため、参考値としてお読みください。成績データはNPB公式記録に基づきます。
「スコアの向こう側」は、データ解析で野球観戦がもっと面白くなるブログです。


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